Whats Up DOVE !?
沼尻和則

神尾光輝

訳あってメンタルが不安定の時期に、環境を変えたいと茨城に向かった。
その時に見た波は、嫌なことを一瞬忘れられる波がブレイクしていた。

久しぶりに泳ぐ冬の海。
セミドライスーツにブーツ、グローブ、ヘッドキャップのフル装備。
流れもきつく、アウトも遠く、緊張感があった。

ここの波を長年チャージし、コミュニティをまとめて来た沼尻さんの後を追ってスイムアウトした。

フル装備で泳ぐと全てがスムーズに行かない。
セットをくらった時に地面に叩きつけられ、握っていたカメラハウジングは死守したものの、スイムフィンリーシュが切れてスイムフィンが片足無くなってしまった。

直ぐに車に戻りスペアを着けてスイムアウトしたが、気持ちも焦っていて体力が限界に達し、久しぶりに酸欠状態になった。

しかしながら、ひたすら自分のセットを待ちチャージする沼尻さんの姿を見て、忘れかけていた精神を思い起こすことが出来た。

このサイズになると一瞬のタイミングが、プルインするタイミングを失う。
この写真はまさにその一瞬のタイミングがズレたことを証明することになった。

サーファーはこれを繰り返し繰り返し、自分のラインを狙い続ける。

そのベストタイミングを撮影するために、行動力、経済力、体力、泳力、精神力を鍛え続けたいと思う。

神尾光輝 1970年、東京都生まれ、横浜市青葉区出身、いすみ市岬町在住。３歳からスイミングスクールに通い１８歳まで競泳を続ける（サギヌマスイミングクラブ、日本大学高等学校水泳部）、メイン種目は平泳ぎ、国内のジュニアオリンピック、インターハイに出場。17歳の時にサーフィン初体験、18歳からサーフィンにハマる、同級生が通っていたSurf Eye surf shop、The Surf surf shop と出会う。大学卒業後の93年サーフィンを追求しにカリフォルニアに単身渡米、そこで師匠でもあるThe Surf オーナー紀藤雅彦氏と出会い弟子入りする。雑用する傍ら写真撮影を学んでいる時に、サーフィンワールド誌の取材で訪れていたカメラマンの中山善朗氏と出会い、サーフィンフォトグラファーの仕事、サーフィンウォーターフォトグラファーの存在を知る。95年にカリフォルニアからハワイノースショアに行き衝撃を受ける。特にパイプラインの波とサーファー、水中カメラマンを見て感動しサーフィンフォトグラファーになる決意をする。96年に帰国、The Surfでバイトしながらフリーランスでカメラマン活動を始める。そこからハワイノースショアにフォーカスし通い続け、97年初めパイプラインで水中撮影し2019年まで毎冬ノースショアに通い続けパイプライン、サンセット、ワイメア他、水中撮影をし続ける。2020年から諸事情のため日本ベースに水中撮影、サーフィンをし続け現在に至る。