毎年冬、ハワイ・カウアイ島に通う宮崎出身のソウルサーファー・DOVEライダーの”コモタカ”こと小森隆志君からHawaii Report が送られて来たので紹介します。
今回は、オーストラリアに在住のインターナショナルDOVEライダーのサム・ユーンさんファミリーと合流しキャンプをしながらの生活ストーリーです!!
小森君からのメール:お久しぶりです。今年のハワイのレポートが出来上がりましたのでご覧になってください。サムさんよりダブの皆様によろしくお伝えくださいとの事でした。熱いスピリットを持った人達と共にサーフィンライフが送れている事に改めて幸せを感じます!
Sam Yoon Ohana family in garden island
毎年通っているカウアイ島。
今年は同じDoveチームでありビッグウェーバーでシェイパーであるSamさん家族と
同じ時間を過ごせた事がなによりの思い出となった。
飛行機の関係でガンを持って行けそうになかった僕は
カウアイ島に家族で滞在しているSamさんのflying soul のガンを借りられる事になっていた。
僕は空港についてすぐに島中の最高の波を求めて
バンでキャンプ生活を送るSamさん家族のもと目指した。
左から奥さんのエコさん、リノくん、モアナちゃん、サムさん
快く9’5のガンを貸してくれ次の日から波が上がってくる予報だったので
会ってすぐに明日の狙いのポイントに向かった。
家族4人バンで生活するサムさん家族はまるで遊牧民のように島中を移動する。
バンライフの無駄のない生活がとてもカッコ良く思えた。
着いた翌日、テントから目覚め暗いうちにトイレに行くと
ヘッドランプをつけたサムさんが公衆トイレを掃除していた!
時差ボケといきなりのキャンプ生活に頭がボーッとしてた僕はいきなり衝撃を受ける。
噂には聞いてたが暗いうちから誰に言われるわけでもなく掃除をする姿に正直なところ鳥肌がたった。
ただでさえビッグウェーブにも乗れ自分でシェイプする板に乗り、
家族を連れてハワイに来るという事だけで男としてカッコいいのに、こそっりと掃除を続け、
しかもそういう事をあえて自分で言わないのが人として本当に見習いたいと強く思えた。
約一時間近く周辺の掃除を行い、ようやく太陽が見えてくる。
掃除を手伝わせてもらって気がついたのは身体も温まり気持ちもスッキリするという事。
心身ともにスッキリするとはこういう事かと納得。
波チェックすると予報通り波はデカい。
日本で2週間近くサーフィンしていなかった僕は緊張しながらもバディがサムさんだったのと、
掃除をしたからなのだろうか、不思議と落ち着いていた。
ノーリーシュにフライングソウルのガン。
そしてDoveのプロテクトスーツ。
波のサイズは8~10フィートオーバーはある。
海に関する知識が豊富なサムさんはパドルアウトしながら
大海原におけるポジショニングの方法をきっちりと教えてくれた。
漁師が使う技法らしいが、言ってる事は分かっても波の大きさ、
ビジターとしての振る舞いを考慮しているとそう簡単には波を掴む事が出来なかった。
一本目の波にテイクオフした僕は早いセクションを抜け切れず、板を流してしまう。
久しぶりのビッグウェーブでのスイムに息をきらしながらボードを探す。
インサイドまで泳いでも板は見当たらない、
もしかするとカレントで沖に流されたかもと思い振り返ると、
凄い流れに乗って沖に板が流されている。
日本での生活とは、かけ離れた状況に少し焦ったが、
自分も流れに乗ってなんとか板にたどり着いた。
もう少しで板が流されて無くなるところだった。
実際このポイントでは板を無くしてしまう事もあるので、
的確な状況判断と体力がとても大事になってくる。
サムさんはと云うとはるか沖で波待ちをして確実にいい波を捉えてくる。
波乗りの技術も凄いがローカル達との付き合いも深いらしく、多くの人達と笑顔で接していた。
ある日の事。
世界が認めるウォーターマン、レイアードハミルトンがSUPフォイルで沖に現れる。
その風格に唖然としていた僕はしばし観察していると
レイアードハミルトンがサムさんと10分くらい沖で話している。
英語もペラペラなサムさんだけど、あの伝説のウォーターマンと話せるなんて羨ましいと思い、
どういう会話をしたか聞いてみると、
「今日はスピリチュアルな話をしてたよ。」と一言。
達観したもの同士にしか分からない世界があるのだろう。
海での出来事も印象的な事が多かったが、陸でもまた面白く興味深い事を学ばせてもらった。
ビッグデイの日の夕方、生きた鶏を捌き、
調理する過程を子供達にしっかりと教え、食べ物を頂く有り難さを伝える、父親としても見習いたい。
鶏が大好きでよく食べるが、生まれて一度も自分の手で生きた鶏を捌いた事のない僕には
殺生というものを改めて考えさせられ食の有り難みを深く感じた。
サムさんが使用するバンはキッチンシステムも自らデザインしており
無駄がなくミニマムで効率よく調理できるようになっている。
シェイパーとしてサーファーとして米雑誌SURFERに特集された事もあるほどの彼だが、
サーフボードのデザインが他にはないデザインで、実際乗らせてもらった感想はとにかく速く安定している。
自分で削って自分でテストする。
そのテストする場所がハワイの一流ビッグウェーブスポットから
彼の住むオーストラリアのクーランガッタという事もあるのだろうが、
物事を深く考察する能力がずば抜けている気がする。
「僕はサーフボードを命かけて削ってるよ!
だってフライングソウルに乗ってくれる人は命かけて波に望んでるからね」と。
真剣な志に心が打たれた。
あるビッグウェーブの日いつものようにガンを用意していた僕とは全く違うサイズの板を
用意しているサムさんにびっくりした。
沖にいる人ほとんどが9フィート台のガンを乗っている中、5‘10のフィッシュを選んでいる。
あまりの短さに周りの人も驚いていたが、
もっと驚いたのはピークからテイクオフして凄いスピードで波を抜けてくるのだ。
自分でこの波に乗る為に考えデザイン、シェイプした板で波に乗れるなんて最高に幸せそうだった。
6時間近く海から上がって来ず満面の笑顔を見せ帰ってくる彼を温かく待っている家族をみていると、
なんとも羨ましい気持ちになる。
Flying soul surfboard 手前の5‘10フィッシュで8―10フィートの波を高速で抜けていた。
Flying soul surfboard 写真はジョーズでも使用したらしい。
フィッシュの生みの親 スティーブリズさんから削ってもらったというフィッシュ。と子供達。
最後に
今回の旅ではここではとても書ききれないほど多くの事をサムさんファミリーから学ばせてもらいました。
山から取ってきたアボガドやパパイア、バナナなど惜しみなく分け与えてくれ、
サーフボードまで貸して頂き本当に感謝です。
ダブのプロテクトスーツも彼ならではの意見を反映した細かいこだわりがぎっしり詰まっており
是非日本の台風シーズンにし使用してみたいと思いました。
プロクテクトスーツに入れる素材を自らカットして量を調整する
今回一番のビッグデイの日の入水前。
沖は20feetオーバーの波が割れていた。
沖には誰もいなく二人きり、
サムさんはピークからワイプアウトして
プロクテクトスーツを着てたのにも関わらず底についたという。。。
生きて帰って来れて本当に良かった。
Photo: Takashi komori, and ecco
Writer: Takashi komori
Sam Yoon
Flying soul surfboard のシェイパーでジョーズも滑るビッグウェーバー。
両親は韓国人。オーストラリア ゴールドコースト在住。
小森君、素晴らしいレポートをありがとうございます。
次は宮崎の台風シーズンのレポートを楽しみにしています!!