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2024.04.04 | FACTORY

DOVE BLOG

ウェットスーツ職人の「技」 貼り編

突然ですがクイズです。

この写真はウェットスーツのあるパーツです。さてどこのパーツでしょうか?

周りのパーツと一緒に並べるとこんな感じ。

正解は…。

「CLASSIC MODEL」の膝パッドでした。ちょっと簡単過ぎましたかね?

では第二問、中級編。

左右対称のパーツで…ちょっと長めで…上部の特徴的な「三角」…。
こちらも周りのパーツを並べるとこんな感じ。

正解は…。

「CLASSIC MODEL」CHEST ZIPの袖でした!

さて突然のクイズでしたが、なんのためにクイズを出題したかと言うと今回ご紹介したい「職人技」に関係があるのです!

以前からご紹介しております通り、ウェットスーツの製造工程は大きく分けて…
1型紙作成 2生地取り 3裁断 4ノリ塗り 5組み立て(貼り) 6縫製 7仕上げの7段階。
前回のブログでは「4 ノリ塗り」をご紹介させて頂きましたが、今回はその続き「5 組み立て(貼り)」をご紹介させて頂きます!

 

それぞれのパーツを専用のボンドで塗るところまではご説明の通り。

この時点ではクイズの画像のように、まだそれぞれのパーツはバラバラです。これらを貼り合わせて組み立てるのが「5 組み立て(貼り)」の作業です。

ウェットスーツ専用のボンドはしっかり乾いていないと接着出来ないので、塗布してから30分から40分ほど乾燥させます。
完全に乾燥した後いよいよ組み立てて行くのですが、今度は完全に乾いた状態では粘度が不足している状態になっています。
粘度が不足している状態でも組み立てることは出来るのですが、接着部分の強度に問題が生じてしまいます。

乾いていないと貼れないし、乾き過ぎても貼れない。
ではどうするかと言うと…。
この「ウェットスーツ専用ボンド」はクロロプレン液を使用した「合成ゴム系接着剤」なのです。
詳しい説明は省きますが、熱を加えると粘度が高くなるという特質があります。
そこでドライヤーの熱風を当て、ボンド表面の粘度を上げながら貼り合わせていきます。

粘度を上げながらとは言え、ちょっとくっつけるだけでは強度が足りません。
まずは軽く合わせ、その次に指先の力を頼りに「ぎゅっぎゅっ」っとしっかりと「揉み込んで」いきます。

ちなみにこの作業を長年やっていると…。

このように指先が反ってしまう程、力のいる作業です。
指先が反ってしまうほど力を入れても、まだ強度が足りません!
そこで登場するのが、貼り合わせることだけに特化したこの機械!

「エアニッパ」という、空気圧を利用しガッチリと挟み込みしっかりと圧着する機械です。
エアニッパで挟む前と後では、これだけの差があるのですが、お分かり頂けるでしょうか?

左側はエアニッパをする前。接着部分に隙間が見えますね。このままだとすぐに剥がれてしまいます。
右側がエアニッパをした後ですが、その差は明らかですね。隙間もなく、しっかりと貼れているのが分かります。

ちなみにこのエアニッパ、ものすごい力で挟み込むため取り扱いには細心の注意が必要です。
もし指でも挟んでしまったら大変な事になります!痛いどころではないっ!もぉ痛過ぎてリアクションも取れないくらいです!
そう、私もやった事があるんです…。手のひらの一部をほんのちょっと挟んだだけでも、半べそかいて帰宅する程の痛さでした。

表面がスキン素材の時には、僅かな「段差」もなく貼る事が重要です。
ジャージ素材のように縫製をしないスキン素材は「貼り合わせ」がそのまま「仕上がり」の状態になるので、とてもとても気を遣う作業です。
もし仕上がりがこんな状態だったら…。

かなり拡大した写真ではありますが、ウェットスーツの仕上がりとしては致命的な段差です。
この段差が擦れや剥離の原因になりますし、何より見た目が美しくない!
本来のスキンの貼り面は…。

こうでなくてはならないのです!引っかかってしまう段差もなく、意図的にはみ出したボンドが接着面をしっかりとコーティングしているので強度も保たれます。

さて、ここまではあくまで「貼り方」の基本でした。前置きがだいぶ長くなりましたが、ここからが職人技の真骨頂!
「立体裁断」を実現するテクニックです!
以前のブログ「ウェットスーツ職人の技 裁断編」の中でも少し触れていますが、DOVEのウェットスーツは、作り込みに様々なこだわりがあります。
その中でも特にこだわっているのは「立体裁断」です。

冒頭のクイズの二問目「袖パーツ」の形を見ていただきましょう。

右袖と左袖の各パーツなのですが、全て「曲線」になってる事がわかると思います。この曲線同士を貼り合わせると…。

この様に立体的になるのです。中央の膨らんでいる部分が、ちょうど肘に当たる部分ですね。
クイズ一問目の足のパーツも同様に、曲線同士を貼り合わせる事で立体感が生まれます。


これは「MAD TAILOR MODEL」の背中のパーツです。
「MAD TAILOR MODEL」の特徴の一つに「呼吸が楽になる」と言うことが挙げられますが、なぜそんなことが実現できるのか?
袖パーツや足パーツと同じように、ここにも曲線の生み出す「隙間」があります。
この「隙間」こそが、綿密に計算された立体感を生み出し、胸部のストレスを軽減し呼吸を楽にするのです。

しかし、ただ貼り合わせるだけではこうはなりません。
「完成形がどのようになるか?」
「左右のバランスが取れているか?」
「生地の伸び具合はどうか?」
などなど、計算された通りの設計を実現するために、職人は常に手と目と頭を働かせながら作業を進めます。
僅かな差も見逃さず、少しの妥協も認めない貼りは、まさに職人とウェットスーツの真剣勝負。
それこそが「着心地の良さ」だけにとどまらず、あなたのサーフィンのサポートをする「機能性」を兼ね備えた「一歩先のウェットスーツ」を生み出します。

 
どうしても文字だけではお伝えし切れない部分が多い「貼り」の作業。
今回も動画「職人技 貼り編」をご用いたしましたので、併せてご覧ください!

さて、いかがでしたでしょうか?今回は「貼り」についてご紹介させていただきましたが、これまでの全ての作業のクオリティーの高さがあってこそ。
しかし仕上がりのクオリティーが高いだけではウェットスーツは完成しません。あなたに着ていただき、喜んでいただけた時にDOVEのウェットスーツは完成します。
「国産高級ウェットスーツ」の名に恥じぬ様、職人は日々研鑽を重ね「最高のウェットスーツ」と向き合っています。
ぜひ、あなたのサーフィンのパートナーとしてお迎えいただけると幸いです!

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